BFDと言えば、生ドラム音源として確固たる地位を築いたソフトですが、2021年の4月にFXpansionからInMusicブランドへ移籍が発表されました(FXpansion公式サイトの記事)。
新サイトbfddrums.comも合わせて開設され、今後のBFDの展開についてはこちらで行われることになります。BFD v3.4となりましたが、そのダウンロード及びソフトの管理などは、InMusic Profile( https://profile.inmusicbrands.com/ )というサイトのアカウント上で行うことになりました。(詳しくは後述)移行しないとヴァージョン3.4以降は使うことが出来ません。
よって、FXpansionのアカウントで所持しているBFDのライセンスをInMusic profileに移行する作業が必要です。なお、移行作業を完了すると、数種類の拡張音源から一つ無料で手に入れることのできるクーポンをもらうことが出来ます。
というわけで、本記事ではBFD3のライセンスの移行作業について、解説していきます。そして、version 3.4のアップデート内容についても軽く触れていきたいです。特に大きな変更はないですが、内部ではいくつか改善が加えられているようで、実際使ってみると安定性が増したように感じます。そうした単純な動作の改善は嬉しいですね!
BFDの独立と移行の前の注意
BFDはBFD drumsというブランドに進化し、新たな一歩を踏み出すことになります。今回、BFDを取得したInMusicとは、AIR Music Technology, AKAI, Alesis, Denon, M-AUDIO, Marantz等の多くの有名音楽ブランドを束ねる企業です。BFDはそうしたInMusicグループ内のブランドの一つになる、ということになります。
ここで公式プレス・リリースから、BFDユーザーにとって特に大事であろう部分を引用、翻訳します。
“InMusicの世界的にも有名な研究開発部門は、その技術とソフトウェア環境を持って顧客に応えます。BFDとそのエンジニア部署はそこに加わり、彼らの特化した知識と専門性をもたらしてくれます。そして、彼らもまたInMusicグループ全体に属する資源や知的財産による恩恵を受けることになります。”
(元記事、原文の四段落目)
最初、BFDがFXpansionから移籍するニュースを知った時はどうなるかと不安になりましたが、こういうことならばBFDがこれからどう進化するかに期待できます!早速、v3.4でAIR music technologyによるエフェクターがBFDに追加されました。
注意点!
InMusic ProfileはInMusicグループのソフトウェアを管理するためのサイト、サービスであり、BFDソフトの管理もこのサイトのアカウントで行います。InMusic Profileのアカウントを先に作っても大丈夫ですが、その時に登録するメールアドレスがFXpansionのアカウントに登録されてるアドレスと一致するように気をつけてください。
そして、そもそもFXpansionに登録してあるメールアドレスが正しく使用できるものかどうかを確認しましょう。FXpansionにログインして、Account Overview(アカウント詳細)に移動して確認します。ここで、アカウント詳細の下側に新たな項目が出来ていることに気づきます。
実際の画像は撮り忘れてしまったのですが、緑線の部分にMigrate BFD productというようなボタンが表示されています。このボタンを押すと、移行プロセスを開始するための確認メールを送信するというページに移動します。
メールアドレスが正しいものであると確認できているならば、この送信ボタンを押してください。そうすることで、BFDライセンスの移行作業はスタートします。
移行作業、開始!
前章で送信ボタンを押したならば、FXpansionからメールが届いているはずです。迷惑メールフォルダに入っている場合もあるので気をつけましょう。
To begin the migration process of your BFD products to inMusic please follow this link (”移行プロセスを開始するために以下のリンクに従ってください。”)という文言の下のリンクをクリックすると、ブラウザが起動しFXpansionのログインページに移動します。
いつものようにログインしてください。ここで注意が必要なのが、ログインしたのに特別なページに移動せず、普通のアカウントページにいる、という場合があるということです。その場合、もう一度メールのリンクをクリックするか、リンクをブラウザに直接入力してください。すると、次のようなページに移動します。
親切なことに日本語訳がついています、ありがたい!ここに書いているように、既に同じアドレスでInMusic Profileアカウントを持っている場合は結び付けてくれますし、そうでない場合は自動でアカウント作成してくれるようです。筆者は先に作っていたため、直ぐに作業は終わりましたが、そうでない場合、追加のプロセスがあるかもしれません。
繰り返し注意になりますが、InMusic ProfileアカウントはFXpansionに登録してあるメールアドレスで作成されるので、正しく使用できるアドレスであることを確認した上で、この作業は行ってください。
以上で、移行作業完了です。完了メールがBFDdrums.comより届きます。InMusic Profileのアカウントページに移動しましょう。
InMusic Profileで確認すること
移行作業が完了したら、まず所有しているソフト類が正しく移行されたかを確認します。InMusic ProfileのMY PRODUCTSページに移動しましょう。
新しいライセンス・マネージャもここからダウンロードできます。水色のボタンを押します。
緑色に塗ってあるリンクをクリックすると、マネージャのダウンロードページに移動します。
ここからインストーラーをダウンロードすることが出来ます。インストールは今まで変わりなく、進めていけば大丈夫です。
新ライセンスマネージャを起動すると、まずアカウントの同期をブラウザを通して行うのでしばし待ちます。アカウントにログインしていれば自動で終わります。その後は各製品のオーサライズです。
それが終われば、新マネージャではここからソフト、音源のダウンロードを行うことが出来ます。上写真のように、ウィンドウ下部からダウンロード等を行うことが可能です。BFD本体も同様にインストールします。
BFD Drums : inMusic Brands Inc.の文字で、BFDがまた新たなステージに移行したことを実感できます。
移行作業のオマケ
ということで、アカウントの移行作業は終了です。今回、移行キャンペーンの一環として、作業終了者には拡張音源を一つタダで貰うことのできるクーポンが贈られます。InMusic ProfileのBFDの項目にもう一度戻りましょう。
オレンジ線の所にGet Couponというボタンがあるので、押すと文字列が表示されるのでそれをコピーしてください。
さらに画面を開いてRedeem Nowというクリックをリンクして、拡張音源選択ページに移動。
選択できるのは、この5つのみです。SELECTをクリックすると購入画面に移動するので、コード入力欄に文字列をペーストして購入をすすめると0ドルで購入できます。これで、アカウント移行作業のオマケを手に入れることが出来ました!
v3.4の変更点、新たなエフェクター
まず大きな変化としては、目に見えない部分で、つまりソフトの内部にいくつかの改善が加えられたということです。安易な機能追加よりも、ソフトとして堅実性を高めるアプデは使い手からすると本当にありがたいです。実際使ってみても、安定感が増したように思います。(個人の主観、感想です!)
機能の追加としては、各パーツごとに独立したコントロール部分として、エンヴェロープ・シェイパーが追加、内蔵されることになりました。
パーツを選択し、Modelパネルから直接AttackとSustainを調整することが出来ます。これは小さいながらも、新たな機能が追加され、今後の進化を期待させてくれる部分だと思います。
そして、分かりやすいアプデ部分としては、InMusicグループのAIR music technologyによるエフェクターが追加されました。
- AIR Compressor
- AIR Lo-Fi (Decimator)
- AIR Distortion
- AIR Dyn3Compressor
- AIR Economy Reverb
- AIR Expander
- AIR Maximizer
- AIR Non-Linear Reverb
- AIR Saturation Filter
- AIR Spring Reverb
- AIR Stereo Reverb
- AIR Transient
- AIR Tube Driver
単純に音が良いです。スプリングリバーブは良い音かつ面白いですし、マキシマイザーなどもミックスで使えるレベルのクオリティ。BFD内部のサウンドメイクの可能性が、また一段上がりました。InMusicグループによる恩恵、相互作用というものを分かりやすく伝えてくれるアプデではないでしょうか。
バスドラにはDyn3Comp、スネアにはAIR compとTube Driverをインサートしています。そして、リバーブ三種類をSENDリバーブとしてAUXチャンネルを用意しており、スネアにはSpring ReverbをタムにはNon-Linear ReverbをGateモードで、シンバル類にはStereo Reverbを掛けています。そして、マスターアウトプットにはAIR Maximizerを掛けて音圧を稼いでいます。音声は各エフェクターをONOFF切り替えていますが、マキシマイザーは点けたままです。ご参考になれば。
まとめ!
以上が、BFDのライセンス移行作業、およびアップデート内容についての解説、紹介でした。BFDについては、2016年にFXpansionがROLIの子会社になったというニュースはありましたが、ソフト自体に大きい進展はここ数年ありませんでした。しかし、ここにきて信頼できる企業グループに参入したことで、これからも使い続けていきたい、というモチベーションを高める事態になって嬉しいです。
BFDは音がいいながらも、ちょっとソフトとしての安定性に欠けていたり、使うのが難しい部分がいくつかあったので、そこらへんがこれから改善されていったらいいと思います。そして、BFD4に期待です!!