MODO BASSの持つポテンシャルについて本気で解説!
物理モデリングによる画期的なベース音源となっており、サウンド、操作性、UI含めた総合力が高いです。少し長いですが、良ければご覧になってください!
あとYoutubeに解説動画をアップしていたので、それについてもすこし説明しています。
version 1.5対応!
MODO BASS登場!!
MODO BASSは、2016年の12月に発売が開始されたフィジカルモデリング技術によるベース音源で、これは世界初です。ベースで起きる物理的な挙動をシミュレートして、それに基づいて音をリアルタイムで生成していく、というものになっています。
現時点で14種類に及ぶ、実際のベースをモデリングしています。これだけあれば、ほぼ全てのジャンルを網羅できるはずです。
ベース音源として同じく有名なのは、SpectrasonicsのTrilianですね。こちらはサンプルベース(あらかじめ録音されたもの)なので、いろんな意味でMODO BASSと相対する存在だと思います。
ただし、Trilianは所持していないので、比較検証はやりません、出来ませんm(_ _)m。
では、8年もの開発期間の末、出来上がったMODO BASSの実力について本気で分析していきます。
UIの良さについて
まず言いたいのがUI(ユーザーインターフェイス)の良さ!!自分はそんなにソフトシンセ、音源を数多く所有してるわけではないですが、昨今のソフトの中でも随一のUIデザインだと思います。
いわゆる良いフラットデザインというヤツです。悪いフラットデザインというのは変に抽象化されていて、シンプルなようで、慣れるまでに時間がかかるしストレスがたまる、というもの。
見てすぐわかる、使ってみてすぐわかる、デザインされたシンプルさです。音源として使いこなすには、もちろん、それなりの時間と慣れが必要!しかし、ソフトとして操作感はかなり良いので、いろいろ触っていれば使い方はわかってきます。そして使ってて疲れない、ということはかなり大事なことですね!
可変式UI
なによりいいのが、UIの大きさをクリック&ドラッグで気軽に変えられることです。最近のモニターは1080p解像度が当たり前になって、古いソフトのUIは、ちょっと小さく感じてしまうこともあります。画面の大きさを自由に変えられたらなぁ、とは前から思っていました。
これは画期的!いいです!例えば、pianoteq(物理モデリングピアノ音源)も選択式で変えられたんですが、これはシームレスに変えられます!GUIの大きさを変えられるプラグインはだんだんと増えてきているようです。音源でなくプラグインでも、こんな機能あればかなり便利ですね。
音も十分良い!
おそらく単音のクオリティは、Trilianには負けると思います。正直、自分も発売されるまで音に関しては、そこまで期待はしていませんでした。フレージングの自然さ、ニュアンスが十分にあればいいだろう、くらいに考えていたわけです。
しかし、きちんと設定していけば、本物のベースに肉薄できるのでは?というクオリティでした。ver. 1.5にアップデートされたことで、さらにその思いは強くなりました。MODO BASSの内蔵アンプは、あくまで付属品ではありますが、細かく設定してバンド全体に溶け込ませれば、十分聴ける音で鳴ります。
デフォルトでのDI音の音量が少しデカすぎるような・・・気がしないでもありません。DI音は少なめにしてAMP音をメインにした方が自分は好きですね。とは言うものの、より本格的なサウンドを得るためには、外部のベースアンプ・シミュの使用がオススメです。
MODO BASSの発売以降、しばらくしてからAmpex SVX2が、IK Multimediaから発売されました。ベース・アンプ・シミュですが、さらなるモデリングの向上でMODO BASSとの組み合わせは、かなりスゴイことになっています。
ピック弾き、外部アンプシミュの例
ルート弾きの検証に関する動画を上げていましたが、これはAmplitube4のFenderのBassman 300ベースアンプを使っています。正直、使い始めて間もなかった頃なので、今見ると使いきれてない部分もありますが、モデリングでこれだけのピック弾きの質感を出せるのはやはりすごいと思います。というかルート弾きがこんだけ自然ならホントもうこれで良いじゃん!と思ってしまいます。
細かい音の違い
各モデル、ピックアップ、弾く弦による音の違い、弾き方、弾く場所などのニュアンスは十分出ていると思います。かなり細かいところまで設定、音作りが出来ますね。
各種、設定について
では、そんな素晴らしいUIに沿って見てみましょう!左から右へ、という自然な流れがあります!
MODEL
まずベースモデルの選択ですね。細かくは省きますが、一通りのベース達がそろってます。これらをメンテフリーで使えるわけです。
PLAY STYLE
そしてプレイスタイル。指弾き、ピック、スラップの三つの奏法から選び、弾き方、演奏時のノイズまでも調整できます。ミュート具合も調整でき、ミュート奏法も再現できます。ちなみに、指弾き時のSTROKEのIndex, middleはそれぞれ人差し指、中指を指します。通常はAlternate(交互に)で問題ありません。
STRINGS
次はStrings 弦の状態、調整です。ACTIONで弦高の高さ、ビビリ音の調整。新しい、ちょっと経った、古い弦の三つを太さも合わせて選べます。
ドロップへの対応について
1.5のアップデートで、低音弦のドロップ(一音下げ)が可能になりました。この画面で設定できます。しかし、デフォルトのコントロール設定だと、5弦モード以上で発音キーとコントロールキーがぶつかってしまうので、コントロールキーを変更しないといけません。
例えば、スティングレイ5弦モデルだと、ドロップで鍵盤で言うところのA0まで音が出せますが、A0の鍵盤はデフォルトだと、Force A StringというA弦で弾くように指示するコントロールで塞がれています。また、A#0音を弾く場合は、ここもスラップ奏法への切り替えスイッチで埋まっているので、これも動かさないといけません。
ひとつの対応策としては、Force A stringをOFFにする、Slap modeのスイッチをG -1にまで持ってくる(MODO BASSで表示される鍵盤の外)などが考えられます。ドロップ、あるいは多弦モードを使う際は、奏法切り替えスイッチを指弾きはF -1、ピック弾きはF# -1、スラップはG -1という風に丸々動かしてしまった方がいいのかもしれません。
ELECTRONICS
そしてピックアップ、電気回路関連のElectronics。その位置や、オリジナルでないものに付け替えたりパッシヴかアクティヴかも選べます。写真ではスティングレイ・モデルにジャズベのピックアップを乗せてます!
AMP / FX
そして内蔵アンプシミュ。TubeとSolidStateの二種類あります。エフェクターペダルも一通りそろってます。画面はアンプ下のエフェクト類をクリックして、エフェクターモードに切り替えた場面です。
CONTROL (アップデートで変化アリ)
で最後にコントロール。後述しますが、これは1.05までの画面です。弾く弦の指定や、その弾き方、プル奏法などを始め、ミュート具合、ピックする位置などもCCでコントロールできるわけですが、それらの割り当てをマネージメントする部分になります。
基本的な部分に関しては低音鍵盤(A -1からA# 0)に割り振られ、それが大きく表示されているので、最初はここを見ながら慣れていくのがいいと思います。そして画面下部にフレットボードがあり、コントロールに対応した鍵盤が表示されている、という流れになります!
しかし!1.5にアップデートされたことで、コントロールする項目が増え、このページは上画像の様な、なんとも見にくいリストに変わってしまいました。仕方ないとはいえ、以前のデザインが好きだったので残念です。今後のアップデートで見やすいように、デザインを一新してもらいたいものです。
打ち込み、入力について
購入してから地道に練習を重ねた結果、演奏入力による打ち込みは、かなりできるようになりました。これは慣れですね。慣れれば、手弾きでもかなり自然なベース演奏が出来ると思います。
鍵盤には発音キーだけでなく、各種コントロールが振り分けられているので、キーボードが49鍵以下ではちょっと足りないかなぁ、という感じです。
このように、いろいろ切り替えたりできますが、リアルタイムで全部網羅するのはかなり難しいと思います。あとはDAW上のMIDIエディットによる調整が現実的です。
編集も慣れてしまえば、そこまで苦にはならないと思いますが、テクニカルな曲については・・・大変でしょうね。一般的なベースラインについては打ち込み、編集しだいで十分再現できると思います。
TIPS!
見落とされがちかもしれませんが、MODO BASSではきちんと弾き手による弦のミュートも用意されています。弦が鳴っているときにE5が押されるとカツッと弦がミュートされます。これにより、さらなるリアルなベース演奏が再現できます。
問題点、不満点について
現在、ヴァージョン1.5ということで自分の環境、使い方では、特に問題はないです。元々、そこまで大きな問題はないソフトでしたが、1.05から1.5のアップデートで、更に安定性が改善されました。音も少しですが、良くなったと思います。モデルも2つ追加され(F Fodera®, Dingwall®Combustion NG2)、更に良い音源になっています。
(使用環境 : Windows7 64bit Studio One3 64bit)
それではいくつかの問題点や不満点について、まとめてみます。
フィンガリング
不満点としては、まずは左手のフィンガリングですね。MODO BASSではフィンガリングについて、3つのルールを選択、適用できます。
- First position(最初の位置で)
- Nearest(近いところを優先)
- Easy(簡単な指使いで)
しかし現時点ではどうも、笑ってしまうくらい、不自然な指使いになってしまうことが多いです。こういうのにこそ、AIの技術が欲しい!とりあえず低音弦を優先的に弾くモードがあると良いんじゃないでしょうか。現時点では、自分は弦を細かく指定することで対応しています。
外部アンプシミュとの連携
外部のアンプシミュを使う場合、内部のアンプやエフェクタは切った方がいいかと思いますが、AMP, FXセクションを一括でバイパス出来るスイッチがあるといいかもしれません。ライン出力だけになり、マスターだけを調整すればよくなる、みたいな。
弾く強さの切り替え
弾く強さをNormal, Hard, Softから選択できます。しかしリアルタイムに切り替えることができないので、パートごとに切り替えるなら、それ毎に別個音源を立ち上げる等の工夫が必要かと。
おそらく現時点では、ベロシティでこれらをリアルタイムに切り替えるということは技術的に難しいのだと思われます。将来的なアップデートで出来るようになったら、さらにスゴイソフトになると思います!
スラップについて
スラップについては難しいところですね。悪くはないと思うのですが、三つの奏法の中では打ち込みにしても音作りにしても、かなり手間がかかると思います。
でも本物のスラップの音もかなり作りこまれていますからね。ガンガン、コンプかけていく等していく必要があるのかなと。
解説動画について
Youtubeの方で、いくつかMODO BASSについての動画を上げさせていただいてます。
現在三つほど動画がありますが、上のルート弾きの動画から辿れるはずです。そのうちのひとつのレッチリ・カバー動画については長いですが、とりあえず、前半のデモ演奏部分のGive it away(二曲目)まででも聴いてもらえると、MODO BASSのポテンシャルがわかると思います。
この曲は、内部アンプ使用で打ち込みは、マウスを使ったいわゆるベタ打ちです。プラグインもEQと軽いコンプ程度なのでほぼ素の音といって良いと思います。シンプルなベースラインはボロが出るんじゃないか?と思っていたのですごく驚きましたね。よろしければぜひ!!
まとめ!
というわけで、慣れと多少の手間はかかりますが、物理モデリング音源の可能性を十分に発揮した良いソフトだと思います。何よりルート8分弾きがかなり自然なのがよいですね!
デモ試用ということで9日間無料で使えるので、この記事や動画などを参考に、このソフトの持つポテンシャルを正確に理解していただけたら幸いです。多くの人に使ってもらえば、フレットレス来るかな?
今後が楽しみなソフトです!
小生はピアニストですがDTMやっています。
わかりやすい説明の動画ありがとうございます。
MODO Bass 良いですね!