ミックス(mixing)における重要な用語をピックアップ!

ミックスにおいて重要な、しかしよく分からない用語についての説明をまとめます!

 mixingにおける専門用語というのは、大抵英語から来ています。しかし、必ずしも英語の用語にうまく対応した日本語があるとは限りません。よってそのまま英語をカタカナ表記にして使う場合ことがほとんどです。

 そうすると、その言葉の意味がよくわからないままに使ってしまうことになることが多いです。というわけで、今回はmixingにおける、意外とよくわかってない重要な用語について説明します。

 日常生活レベルで馴染みのある、和製英語として溶け込んでいるような言葉をカタカナ表記するならまだしも、そうではないものについては英語表記した方がいい、と当サイトでは考えています。なので基本的にはそのような用語は英語で表記していきます。それでは確認していきましょう!

Bus

Bus puts them together
各々をまとめて、マスターへ出力する

 これはその名の通り、まさしく乗り物のバスです。バスとは一つの大きな車をみんなで乗りあう、というモノであり、mixingにおいてはつまり複数の信号が一つのトラックを共有する、音の(中途)集合地点となります。

 最終的なステレオアウトはmaster bus(マスターバス)とも言われますが、楽器を各グループをまとめるのに利用されます。例えば図のように各ドラムセット、スネアやバスドラなどの各トラックをまとめたDrum busとしてそこでまとめてEQしたり、コンプをかけたりします。

 これが所謂Bus Processing(バス・プロセッシング)となります。各トラックごとの個別の処理も大切ですが、bus processingも重要な工程です。

Threshold

 スレッショルド、直訳すれば建物の入り口や、開始地点などを意味します。mixingにおいては、コンプなどのダイナミクス系エフェクターにおいてその動作が始まる、音量の設定ラインを指します。

 この音量ラインを超えなければコンプレッサーは作動しません。thresholdを超えて初めて動作します。通常は強く弾いた時にコンプが作動するように設定します。(全ての音に反応するようにはしないのが基本です)

Transient

トランジェントと読みます。これは適切な訳が難しいですね。直訳すれば瞬間的な、などという意味ですが。音楽においては、楽器や声が発声するその瞬間に発生する、瞬間的な音成分であり音の輪郭を構成する上で重要な役割を果たす成分です。

詳しい解説については、個別の記事をご覧ください。

Transient トランジェントとは何か?基礎知識と解説!

Sonnoxtransmodなどのtransient成分そのものを調整するプラグインもあります。

Head Room

 よく、この機材はヘッドルームが十分にあるだとか、このプリアンプはヘッドルームがあまりない、という風に言われることがあります。しかしヘッドルームって何でしょう?

 直訳すると“頭部屋”で意味不明ですが、要はそのまま頭上の空間です。天井が低いと、頭との間の空間は狭いので、そのような場所で飛び跳ねると危険です。頭をぶつけてしまいます。

Head Room

 右の図は飛び跳ねていても、頭上に十分なヘッドルームがあるので頭をぶつける危険性がありません。しかし左の図はどう考えても、ジャンプしたら頭をぶつけてしまう天井の高さです。

天井より高く飛び上がることは出来ない!

 デジタルオーディオにおいては、音量の最大値は0dBFSであり、それを超えてはいけません。つまり、天井があるわけです。その天井をぶち破らないために、コンプやリミッターなどで抑えるわけです。

 結局は音を潰しているわけで潰す度合いが大きければ大きいほどサウンドクオリティは落ちます。もちろん潰すことによる音響効果を狙っている場合はいいんですけども。ミックス時点でとりあえずリミッターで潰してごまかす、というような処置はなるべくせずに、コンプやオーディオ編集などでコントロールした方が音への影響が少なくなるかもしれません。

 各々のトラックの処置をしっかりとして、Head Roomを十分に確保するということが重要になります。マスタリングにおいて十分な音圧を得るためにも重要です。

 マスタリングにおいてもコンプは掛けますが、違和感無く潰せる範囲というものがあると思うので、必要であるなら、Head Room確保のためにもトラック単位で掛けていくことが最終的な音圧に繋がっていきます。

ビット深度 Bit Depth

 ビット深度はデジタル・オーディオを理解し、音楽制作において正しいサウンドを得るために覚えておくべき重要な用語です。

 BitはBinary Digitを略して作られた単語で、直訳すると2進数における桁数、となります。2進数とは0と1だけで数字が表現される方式です。コンピュータ内部では全ての数字は2進数で表されています。

10進数2進数
11
311
81000
111011
25511111111

 こういう感じになりますが、怖がる必要も2進数を読める必要も全然なくて、普段目にしている10進数と見た目が違うだけで、中身の数字は一緒であると分かっていればいいです。

 Bitはこうした2進数で表される数字の桁数を表したものであり、コンピュータや、そのソフトウェアで扱うデータの規模を示すものです。桁が多いほど、規模も精度も上がるというのは、2進数も10進数も同じです。

 2Bitならば2桁の2進数ということになり、0, 1, 10, 11という風に4つの数字しか扱えず、0から3までの数字しか扱えないことになります。8bitとなれば、0, 1, 10, 11, 100, … 11111111までの8桁の数字が扱えて、これは10進数で0から255までの数字となり、これならファミコン規模のことはできるようになります。またCDフォーマットは16bitであり、65536段階のデータを扱うことが出来ます。

 つまりはBit Depthというのは、そのソフトウェアがどのくらいの規模の数字を扱い、どれだけ複雑で精密なことができるかを表す数値であり、デカければデカいほど良い!というくらいの理解で大丈夫です。大きければ大きいほど、音の解像度が増えて、処理の精度も向上します。

 Bit Depthが大きいほどコンピュータへの負荷は増えますが、昨今のコンピュータの性能を考えれば、そのデメリットはほとんどないと言っていいです。2020年以降のCPUやメモリの性能、SSDなどのストレージの容量は既に十分なくらいあるので、もはや32bit あるいは64bit depthが標準であると言えます。今さら16bit, 24bitオーディオを音楽制作で利用する意味、価値は無いでしょう。

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