“Tape Machine” by Ik multimedia レビュー![ T-racks ]

Tape Machine Top

 アナログ・サウンドの秘密を握るのは磁気テープ!IK multimediaによるTape Machineは、DAW上でアナログ・テープ・サウンドを再現するためのプラグインです。

https://www.ikmultimedia.com/products/trtapemac/?pkey=t-racks-tapemachines-collection (公式ページリンク)

 毎度の事ながら、アナログ・モデリングもここまで来たか!という出来で、ややCPU消費率は高いものの、そのサウンドは特に昔ながらのロックやブラックミュージック、ヒップホップなどにおいては特に絶大な効果が期待できるプラグインです。

 本記事では、そんなテープマシン・コレクションの使い方や注意点についてレビューしていきます。

IPSとスピードによる音質の違い

 IPSというのはInch per second(インチ・パー・セカンド)で秒速インチを表します。つまり、テープの回るスピードです。例えば、映像作品において、その滑らかさや質がFPS(フレーム・パー・セカンド)に影響されるように、テープの速度が音質に影響を与えます。

曲線はあくまで目安なので参考程度に

 単純に考えると、テープ・スピードが高い方が音質が高いように思えます。実際、テープ・スピードが高い方が、高域の周波数特性は良くなります。つまり、周波数帯域のレンジが広くなり、高い音も綺麗により良く録れるということです。

 しかし、良いことばかりではありません。テープの物理的な構造上、スピードが上がればその分、摩擦も増えてノイズが増えます。また、上図にあるような低域の減退も発生します。あと単純に同じ時間録音するのに倍のテープが必要になるので費用が掛かる、という側面もあります。つまり、15IPSと30IPSのどちらが良いかは簡単には判断できない、ということです。

 多くの場合は、よりテープらしい音にするならば15IPSが基準になるかと思われます。そこよりも更にチープな音にしたい場合は7.5IPS選んだりと、目的の音質にあったIPS選択が必要です。

4台のテープ・マシン

 本プラグインには四台のテープマシンが収録されています。テープマシンの代表格としても有名なスチューダーの80が含まれており、人によってはこれさえあれば十分かもしれません。

 このプラグインの致命的な弱点として、名前に無機質な数字を多用しているため、覚えづらい、区別が付き難いというものがあります。人間は無機質な数字の羅列に弱いのです。そして、UIにおいて、各テープマシンの名前が右下の目立たないところにあるのも欠点。左上に大きく、分かりやすく表示した方がいいのでは?とも思います。音が良いだけに、この問題点は少しもったいないです。

Tape Machines
Tape Machineコレクションに含まれる全モデルの特徴

 4つのテープ・マシンの特徴をそれぞれ簡単にまとめると、24は特徴が中庸なテープ・サウンド、440は特に音の変化(変質)が大きいヴィンテージ、80はテープらしい濃さのある音、99はデジタルに近い、癖のないアナログサウンド、ということになります。

 個人的な見解として、いかにもテープらしい音というのは、やはり44080という感じで、わざわざテープの音を欲するのであれば、この2つの内のどちらかが選択の中心になるかと思います。

4種類のテープ

 テープの名前も数字オンリーなので、やはり覚えづらいです。なので、それぞれあだ名を付けていきたいと思います。

250は『ヴィンテージ』

 4つのテープの内、最も歪みやサチュレーションが強く、より音の変化が強いので、ヴィンテージな音を得たい時に使えます。440との組み合わせは最もアナログな音です。ドラムに使うと、かなりそれっぽい音になるのでオススメ!

456は『ウォーム』

 456はバランスの取れたサウンドです。250よりかは綺麗ですが、きちんとテープらしい音が出るようになってます。実際、このテープが本プラグインのデフォルト設定となっているので、このテープが基準になっていると言っていいと思います。

499は『クリーン』

 499は80年代のデジタル黎明期に開発されたこともあってか、クリーンなサウンドになっています。音域も広く、歪みやテープ・コンプレションが抑えられているので、『テープらしさ』は最も低いテープとなっています。99との組み合わせが、最もクリーンなテープ・サウンド、ということになるでしょう。

GP9は『モダン』

 GP9は現代のアナログ・レコーディングのためのテープであり、あえてテープを使うわけなので、テープサウンドをより強調した派手でパンチ感のある現代的なサウンドとなっています。


 というわけで、各テープにあだ名を付けてみました。数字で覚えるより、これらの名前で覚えた方がよりわかりやすいのではないかと思います。参考程度にどうぞ。

実践について

 CPU消費率が高い、というのはあっても何にでも使えるポテンシャルを持っています。ドラムはもちろん、ギタートラックやボーカルトラックでもなんでもです。

 シングル・トラックだけはなく、Busトラックにも特に有効です。耳障りな部分を落ち着かせながらも、テープコンプレッション、テープ歪みなどによって、メリハリのあるサウンドになります。

まとめ!

 という訳でTape Machineのレビューでした。60年代から70年代までの古いロックや、あるいはそれに影響を受けたロックサウンドなどが好きな方には待望のプラグインです。特にこれを使えばドラムサウンドが『あの』サウンドになります!

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