Soundtoys史上、もっとも過激なプラグインDevil-Locを解説していきます。問答無用で潰すだけのプラグインなので、解説すべきことはほとんどないかもしれません。
音を歪ませる、という目的は同じであれ、その方向性はDecapitatorとは大きく異なります。Soundtoys Decapitatorを徹底解説!
オリジナルは、マイクなどで有名なShure社によるLevel-LocというPA機材用の音響リミッターです。大会場におけるスピーカーへの負担軽減、つまり入力が大きすぎると音響スピーカーが飛んでしまうので、それを防ぐために音量を制限するというのが本来の使い方。
しかし、入力を過剰に上げた時に起こる過激なリミッティング、つまり独特の音の潰れ具合を気に入ったエンジニアがサウンドメイクのために使うようになりました、その使い方を念頭にモデリングしたのが、このプラグインです。音楽において、本来の使い方からは外れた活用法で真価を発揮する機材は多いですが、これもそのひとつになります。
使い方について
なので、使い方はシンプルです。Crushを上げて、潰すべし。Crunchはcrushで潰した音をより荒々しく、クランチな音にします。音量も上がるので注意。Releaseは潰した後の音の戻り方ですが、Fastだとより切れ味の良い音になります。Darknessは数値を上げると、高音域が削れて暗い音に。音を潰す際に耳に痛い部分を抑えるのに使います。MIXはパラレル・プロセッシング用で、原音と潰した音を程よく混ぜることで、潰れつつも輪郭のある音にします。
これは音を完全に変え切ってしまうための道具であるという前提で、音を歪ませたいもの全てに使えます。ボーカルに使えば、アメリカンなファットなサウンドにできますし、ドラムにかければ凶暴なドラムサウンドになります。リバーブにかけるのもアリです。例えば、スネアとそのリバーヴに合わせて掛けると、稲妻のような凶暴なサウンドを生み出せます。
なににせよ、このプラグインの特性上、音を潰した後はDARKNESSやEQで耳に痛い部分などを調整する必要が出てきます。また、入力段階で過剰な低音があると、低音にだけ反応するという事態も起こるかもしれません。残念ながら、このプラグインにはローカット・フィルターがないので、各自自分でやる必要があります。
補足など
Devil Locに限りませんが、いくつかのsoundtoysのプラグインにはミニバージョンが出ています。これの場合は、Devil Loc とDevil Loc Deluxeとなります。
Devil-Locは二つしかノブがなく、MIXもないので使い勝手はあまり良くないです。DeluxeにあるMIXを使って原音を足した程よいバランスをもった歪みサウンドを作れます。