ベースにおけるイコライザーの必要性について

 ベースに対して、どうイコライザーを使うべきかについてまとめます。現代の音楽において、しっかりとしたベース(低音)は必要不可欠です。と、同時に扱いの難しいパートでもあります。

 まず低音は鳴らしにくいし、聞き取りにくい、という問題があるからです。(人間の音程と音の大きさに関する耳の特性については音楽制作における等ラウドネスレベル曲線についてをご参照ください)また、ミックス上において、ベースはセンターにパンニングするべきですが、ステレオの真ん中には他にも重要なパートが設置されます。スネア、バスドラ、そして主役であるヴォーカルなどです。

 重要なパートがひしめき合うセンターなので、必然的にベースもイコライザーによる周波数バランスの調整をしなければなりません。時には、ベースなのに低音を削る場合すらあります。しかし、それはベースにおいて他とのバランス取りだけではなく、必要な低音をしっかりと鳴らす(聴こえさせる)ためでもあります。

 

様々な低音

 いわゆる低音といっても、幅広いです。周波数的には200Hz以下ぐらいからが低音という扱いになりますが、楽器によって、主とする低音は異なります。もちろん状況によって扱いも変わります。

 ギターにおける低音、ベースにおける低音、バスドラにおける低音。ヴォーカルにおける低音。どれも異なります。もちろんジャンルによっても、低音の扱いは変わります。基本的に余分な低音はフィルター等でカットすることが多いですが、しかしカットしすぎても音が薄くなってしまいます。他のパートの兼ね合いも含め、その楽器にとってどの低域が重要か、時としてはそこをカットするかどうかを判断することになります。

 

 高音域、中域、低音域という三つの区分で周波数帯域を分けて考えることが多いですが、実際はもっと細かく分けることができ、それぞれ性質や役割が異なります。

 

ベースで低音を切る!?

 前述したようにベースなのに低音をカットする場合があります。ミックスにおける低音に扱いについて、一番難しいのはベースとバスドラムのバランスの取り方です。どちらもリズムの根幹になるので、最新の注意が必要になります。

 ベースギターとバスドラはそれぞれ重視すべき低音が異なります。ベースは音程としての低音に対して、バスドラムは振動(リズムの基点)やパワーとしての低音です。

 低音は単純に音として多くのエネルギーを含んでいます。振動です。特に100Hzあたりになると、音というよりは唸り、エネルギー、さらに音が低くなるごとに地響きのような振動になっていきます。程よくあれば音の厚みになります。ミックスにおいては、そうした低音の多くはバスドラが担当です。なので、バスドラ以外は厚みや唸りの低音成分をバスドラのためにカットする必要も出てきます。

 

ベースで大事な低音とは

 本題のベースですが、もちろん低音域が重要です。しかし、低音域といっても更にいくつかの区分ができ、ベースで重要なのは音程として聞き取れる低音部分です。そこを土台として、コードは形成されるのできちんと聞き取れることが大切です。そこから周波数が下がっていくと、音に厚みを与える性質を帯びてきます。しかし、音の厚みとしての低音は多すぎると、ベースで重要な音程として聴こえるべき低音を邪魔してしまうことがあります。また、バスドラにおいて重要な低音を阻害することもありえます。

 ミックスにおいても、単純にそうした低音は音量は大きくなってしまいます。前述したように低音は聞き取りにくいので、大きな音を出さないといけない。また、現代の低音を重視したミックスでは他の音域のバランス的に余分に低音を出さないといけないからです。


周波数で考える低音域の区分

  • 200Hz周辺から100Hz周辺まで

音程としての低音となる区分。この範囲でも突出する部分があると不快な低音になる。

  • 100Hz以降、特に63Hz以下

ここまで下がると、音程感は薄れ唸りのように聞こえてくる。音に厚みやパワーを与える。


 また不快な突出した低音、ブーンやウーとなるブーミー(Boomy)な低音は耳に痛いですし、ミックスのバランスにもよくありません。マスターにかけるコンプやリミッターが過剰に反応してしまう場合もありえます。こうした成分に関しては、一定範囲を削るようなフィルターは適切ではなく、マルチバンドコンプなどで抑えるのも有効です。

 

自身の役割と他への配慮

 とにかくベースは和音の土台となるベースラインが聞き取れるように鳴らすことが基本です。そのためには過剰な重低音が鳴らないよう配慮する必要があり、場合によっては不要な低音をカットした方が大事な低音が聞こえやすくなります。

 また、センターにはバスドラの他にスネアやボーカルがいます。音が重なると、それだけ低音が累積するし性質上強まります。なので、盲目的に低音を切るのも問題ですが、やはり現実的には、ベースとバスドラ以外のトラックでは低音を控えめの周波数バランスで調整していく方向性が良いと思われます。

 なので、状況に合わせてベースの中音域や高音域もほどほどにカットする必要が出てきますし、埋もれないように大事な部分をブーストすることも大切です。

 

 ミックスはそのパートだけでなく、他との兼ね合いも重要。ベースやその楽器に重要な帯域はどこか、そこを見極め、状況(楽器の数、アレンジなど)によって、強調したり、削ったりというのがイコライジングの基本です。そして、単純な高音域、中音域、低音域という三分割をやめ、どの帯域が大事か、その優先順位や取捨選択こそがしっかりとしたベースサウンドの基本になります。

 

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